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2023年06月05日

所有者不明土地※の解消に向けて、不動産に関するルールが大きく変わります。

※所有者不明土地
(1)不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地
(2)所有者が判明しても、その所在が不明で連絡が付かない土地

 

令和6年4月1日より、相続登記の申請が義務化します。

 

相続により(遺言による場合を含みます。)不動産を取得した相続人は、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならないこととされました。また、遺産分割協議の成立により、不動産を取得した相続人は、遺産分割協議が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた登記の申請をしなければならないこととされました。 なお、正当な理由(※)がないにもかかわらず申請をしなかった場合には、10万円以下の過料が科されることがあります。

※正当な理由の例
(1)相続登記を放置したために相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケース
(2)遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているケース
(3)申請義務を負う相続人自身に重病等の事情があるケース など

 

相続人申告登記とは?
登記簿上の所有者について相続が開始したことと自らがその相続人であることを申し出る制度です。
この申出がされると、申出をした相続人の氏名・住所等が登記されますが、持分までは登記されません。
(*権利の取得を公示するものではないため、これまでの相続登記とは性質が異なります。)
どのような特長があるの?
(1)上記申請を相続登記申請義務の履行期間内(3年以内)に行うことで、申請義務を履行したものとみなすことができます。

(登記簿に氏名・住所が記録された相続人の申請義務のみ履行したことになります。)
(2)登記簿を見ることで相続人の氏名・住所を容易に把握することが可能になります。
(3)相続人が複数存在する場合でも特定の相続人が単独で申出することが可能です。
(4)法定相続人の範囲及び法定相続分の割合の確定が不要です。
(5)添付書面として、申出をする相続人自身が被相続人(所有権の登記名義人)の相続人であることが分かる当該相続人の戸籍謄本を提出することで足ります。

 

国庫帰属制度とは?
 相続(遺言による場合を含みます。以下同じ。)により土地の所有権を取得した相続人が、土地を手放して国庫に帰属させることを可能にする制度です。
 国庫に帰属された土地は、普通財産として、国が管理・処分します。

申請権者

 相続によって土地の所有権を取得した相続人であれば、申請することが可能です。制度の開始前に土地を相続した方でも申請できますが、売買等によって土地を取得した方や法人は対象となりません。
 土地が共有地であるときは、共有者全員で申請する必要があります。

国庫帰属の対象土地

 次のような通常の管理又は処分に当たり過大な費用や労力が必要となる土地に該当しない土地が対象となります。
 (国庫帰属できない土地の例)
  ・建物、工作物、車両等がある土地
  ・担保権などの権利が設定されている土地
  ・通路など他人に使用される予定の土地
  ・土壌汚染や埋設物がある土地
  ・境界が明らかでない土地
  ・危険な崖がある土地

手続にかかる費用

 審査手数料のほか、国庫への帰属について承認を受けた場合には、負担金(10年分の土地管理費相当額)を納付する必要があります。
 詳しくは、相続土地国庫帰属制度についてをご覧ください。

 

 

相続登記の義務化